theoria(テオーリア) まるみの 湯気の向こうに 見えるものを心の眼差しで観想する 小さな旅へのいざない

''今年は寒いブクロ''

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  • 今年は寒いブクロ




    新種

    ラブホな人々

豊島区の道路拡張工事。





ラブホな人々



これ……  なんかね~

こーわーいー










一気

ラブホ街の中にある小さな駐車場の脇に背の高いおねーさんが立っていて、
肩から提げているデカバッグから何か取りだしてチャッとひねってるのが見えた。

それを ぐーーーっ ぐぐーーーーっ と天を仰いで一気飲みし。

ヒールの足元に瓶を置くときにミニスカートから太ももがあらわになるのも気にせず。

立ちあがって去っていったので。

何を飲んだのかな~ と思って見に行ってみたら。




ユンケルだった。











執念

ラブホな人々

工事してるわ。
何がかって? もち、ラブホよ。



ラブホな人々

えーーーっ?! 工事中で営業中??
ここでかーーー?!


すごいねえ。執念感じる。この状態で入る人いるんでしょうか……



ラブホな人々

たぶん休んだほうが経費かからないと思うんですけど。
ここの経営者、休むと忘れ去られてしまうっていう強迫観念もっているのでしょうかね?


1週間後にはこうなってましたっ!







目ぢから?

ラブホ街から駅へ向かって、ブクロ駅のそばの細い道で
杖を片手にリュック姿の2人のおばあちゃんが手をあげてタクシーを止めたの。
運ちゃんだってそんなところで乗せたくはなかったんだろうけど、老人だからね。

そしたら後ろから車が来たのよ。で、つっかえてるから止まったの。

タクシーには1人目のおばあちゃんが緩慢に乗り込んでいる最中で、
なかなか発車できないんだよね。

1人目のおばあちゃんがようやく乗り込んだ時に後ろの車がクラクション鳴らした。

なにー?! 

ベンツじゃん・・・  やっ~ばっ・・・

だってここ、ブクロよ。
やたら薄暗いベンツ見るとさ、
今どき珍しい左ハンドル、バリバリそれっぽい男が座ってるのねー!

と、その時、
自分が乗り込むのを待っていた2人目のおばあちゃんが、ベンツのほうに顔を振りむけ
眼光鋭くキッと見据えたのね。
そしてまず杖を車に入れてから、その後ゆっくりと車の中に。

あちゃ・・・   どうなることやら。

でもその後クラクションも鳴らさず、ベンツ、じっと待ってましたね。
車内では「クソババア、はよせんかー」とか言ってたかもしれないけど。

おばあちゃんの目ぢから、すごい~~~



じゃなくて、やっちゃんはおっかさん思い出したのかもしれんが。










スプリングセール

ラブホな人々

ブクロ駅そばの雑居ビルの1階にあるペットショップ。
夜中も開いていて、ブクロ御用達お仕事レディーたちが大勢入って見ている。

小さな犬や猫を。



ラブホな人々

天井まで積まれた箱の中にいる幼い命たち。



ラブホな人々

スプリングセール

最大半額

期間限定

半額 半額

カード可 頭金なし

ローン分割できます









入り口 and / or 出口

ラブホな人々



おりゃ~!! (またかい!!)

狭いラブホ街で、ラブホから出てきた2人連れと衝突しそうになるんだよね~!

男がだいたい「えーっと」って言いながらボーッと出てくるから。

「えーっと… 駅ってどっちですか? あっち? こっち?」
出口で立ち止まってキョロキョロ。

で、あたしとぶつかりそうになる。
あたしゃ慣れたもんで素早く除ける。



ラブホな人々



女の子が
「うん、あそこ突き当たって右に曲がって真っすぐだよ」 あるいは

「あ、途中までご一緒しましょうか?」もしくは

「遠回りだけどこっちから行ったほうが分かりやすいです」とか。

「えー 忘れちゃったの~?」とか言って笑ってたり。



ラブホな人々



束の間の幻想の出口は、変わり映えのしない現実の入り口だ。

夢うつつでラブホの出口を一歩またいで、
「ええっと…」と言いながら
明かりの中に霞む目をしばたかせ、男たちの足はおぼつかなく池袋駅を目指す。









ブクロの雪

ラブホな人々

ぐじゃぐじゃ。

湿ってる雪だからね~ 積もるそばから溶けかかって
きったなく、ぐじゃぐじゃ~っとなる。

タクシーが通ると茶色のシャーベットがあちこちに飛び散る。



ラブホな人々

転んだらエライことになるので(骨折 もしくは 泥まみれ)
みんなおっかなびっくり歩くしかないの、雪国生まれは笑うだろうけどさ~




ヨロヨロ家に帰ってほっとしていたら、

隣のラブホから
カンカラカーン カーン と音がした。

あ~ 風呂場の桶の音だ。

そしたらまた
カーン カンカラカーン カーン

カーーーン カラーン カンカラカーン カーン

延々続く。

なんじゃありゃ?




カーン カーン カラーン

ブクロの雪の日は、ラブホで桶を投げ合って遊ぶのかもね。









青春

そこそこすいている山手線に私は座っていた。
電車は大塚駅を過ぎなんとしている。

ドアのそばに立っている女の子が、立ったままヘンな動きをしたので…
よく見たら…

左手にノートブックくらいの大きさの鏡を持ち、右手で右まつ毛にマスカラを塗っていた。

大塚と池袋間の距離は長い。

山手線だからそう激しくは揺れない。しかしそれなりに揺れるのよね、電車だからさ~

足を踏ん張りつつ鏡を見つつマスカラを付け、ヨロッ また付け、ヨロッ 足を踏ん張り、ヨロッ また付けて~ メガ盛り!
いや~ それにしても何と優れたバランス能力!

わたしゃ目の中にマスカラの棒が刺さるんじゃないかと揺れるたびにハラハラしたが、
もちろんいらんおせっかいで、電車が池袋駅のホームに入ると、
彼女は満足げに鏡をじっと見てちょっと笑顔なんぞ作ってみてから、その巨大な鏡をバッグに入れマスカラもバッグに入れ、ドアが開くとブクロのホームの雑踏に消えていった。
(左目は盛らないのか?)


いや~ 何と言ったらいいんでしょうかね。

「若いって素晴らしい!」  ?





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