オソウシ温泉 鹿乃湯荘

(2011年5月28日 2人泊 @9,000円)



オソウシ温泉 鹿乃湯荘

季節外れの台風の影響で、東京はこれからどんどん天気が悪くなるらしい。


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新宿のビルが煙っている。

リムジンバスのバス停で、私は新妻ちゃんを待ちながら、小雨が降ってきた空を見上げた。
まあ、台風は北海道までは行かないだろうが、今回はお天気は期待できない。

カヌーの時に大雨が降らなければ良しとしよう。

ところで… 新妻、いつもギリでやってくる。来るまでやや心配。

しかしな~ 考えてみると、若く見える、というか幼く見える彼女もそろそろのお年だし、
そういえば結婚してかなり経つしね。

気が付けばもはや<新妻>ではないな~ <ヒネ>でもないが。
今や単なる<妻>だわね。
今後は新妻ちゃんではなくて<おつまちゃん>と呼ぼっと。

そうこうするうちギリでおつまちゃん登場。ほっとする。バスに乗り込み一路羽田に。






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十勝帯広空港は一面のタンポポで黄色い絨毯のようであった。

雲は多かったが、時折日差しがかすかに差した。

今日のメインイベントは、空港から車で10分ほどの所にある「植えるCAFE」で
ランチをいただくことである


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ランチをいただいて十分満足してやや放心状態となった私たちは空港に戻り、
帯広の旅行会社の「空港からの日帰りパック」という、やや無理がある旅行パックを利用して、
空港から新得の<オソウシ温泉>まで送ってくれるタクシーに乗った。


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この帯広の旅行会社の社長らしきおじさんと何度か電話でお話ししたのだが
「植えるCAFE」のような場所に行ったら最後、帰れないよ!みたいなことを言われてびっくりしたのだった。
「私は地元の人間なのであの辺はよーく知っているんですがね、あそこは畑しかありませんよ。あんなところに行ったら最後、タクシーなんか呼んでも行きませんからね、帰って来られなくなりますよ!
これは、何というか… 老婆心で言ってるんですが」


もちろん親切で言ってくれたのだろう。その言葉の裏には
(あーあ、東京の人間は、畑の真ん中でも、手を挙げればタクシーが止まるって思ってるんだろうが…
困ったもんだ…)という感じがありありと。

「えーっ! 空港にはタクシーたくさん待機してるし、無線で呼べるのでは?」
「いや、呼んでも絶対行きませんよ」

なぜ?? 前人未踏の道なき道?? 
実際は畑の中でもちゃんと舗装された道路は通っているし、呼べば来てくれる。
但しここまで来てもらうのに1,500円ほどかかるが。

地元の人は車持っててあんまりタクシー利用しないから、そのへんほとんど知らないのね~






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タクシーに乗って1時間ほどで新得町に入り、そこからこの冬に行ったトムラウシ温泉 東大雪荘に向かう道を通って途中で右折、熊が出そうな林の中のダートの林道、砂利をボコボコ跳ね上げながら7km走る。

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この宿は何年か前に売りに出され、その後どうなったか分からず私は忘れていたのだが
帯広在住の方から現在営業していることを教えてもらったのだ。
ぬるいお湯らしく、私向き。

新得の共働学舎でチーズを買いソフトクリームを食べたかった私は
暫く前におつまちゃんに「共働学舎に行こうね~」と言ったら
彼女は「ホントですかぁ~! やったー!!」と大喜びしたのだった。
「だから新得で泊まるところは湯治宿」
「あのチーズ買えるなら、どこでもいい!」

チーズ好きの彼女は、トムラウシから帰って共働舎のチーズをネットで大量に買い込んだのである。
今回も大量に買い込むらしい。

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宿が見えてきた。

山桜のピンクの花が見えた。





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いかにも北海道の温泉宿らしい構えと色。

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あ~ 鹿さん、こんにちは! 5時少し前に到着。


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受け付けには人がいなかった。
暫くしてご主人らしき男性が。

名前を告げると
「そこの自動販売機で…」

へ?

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2人で1万円札持って、なんだかいろんな種類があるわ、えーっと、どれを押すんですの?
そしたらご主人が
「私がやります」ってんで1万円を機械に入れて(休前日9000円) の所を押し、
出てきた1,000円札を返してくれた。

この機械、なんのためにあるんだろね?
記帳省略、領収書省略の省力化?






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本日2階の2間続きのお部屋。
「あ! 灰皿ない!」
「ホントだ!」

窓の外は草が茂った山肌。


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布団は2枚重ね、掛け布団羽毛で軽い。OK!

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本日お客もう1組、計4人だそうです。
夕食は6時半にお願いしました。下の食堂だそうです。


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洗面所。改装したようで広くてお湯も出るみたい。

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簡易水洗のシャワートイレ。
しかしスペースが狭くて頭ぶつけそっ。





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風呂です。
入る前にご主人から
「通常夜は10時までなんですが、今日は2組なのでお湯は抜きませんから10時過ぎても入っていいですよ」
と言われた。

えー… 通常は夜10時まで。日帰りは夜8時までやっている。

それって、うーん… マイナス10て~ん!
まあいいや、風呂風呂~~~

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えー…  狭い。
無理して男女別に半分にしたらしい。
いや~ ちょっとせせこましっ。

お湯はツルツルぬめり感がある、ぬるめのいいお湯だった。
加温、かけ流し。

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湯口はクラシックなライオンちゃんだった。

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洗い場も狭い! 日帰りの女性が髪を洗っている背後を通るのは気を遣う。


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露天も半分?!


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ここが源泉の出どころらしく、見たこともないようなタワーがある。
上からつららのように堆積物が下がっている。



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はあ~ 夜はちょっと不気味かもね。


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その下に源泉が加温されずに投入されている混浴の風呂があって、
その向こうに川が見えるし
25℃なら私は大丈夫なので入ってみたいのだが、
となりの男湯からは丸見え、かつおじさまたちの話し声が聞こえてくるので入ることもできず…




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おとなしく加温された女湯に入っているしかない。


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ここ、正面ヨシズなのね。マイナス10て~ん。

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しかし霧のような雨に煙る木々の緑は美しく、お湯は(私には)適温でぬるく
おつまちゃんにはちょっとぬるすぎで、しかし気持ちよかった。

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「このお湯は日本でも珍しいpH10 の強アルカリ泉です」と書いてあるが、

pH10 くらいなら日本全国あちこちにあり、東京近郊、埼玉、山梨、にはけっこうあり、
そういえば新潟、長野にもあるな~ pH11 くらいのところもあるな~
つまり全然珍しくはなく、「日本でも珍しい」を「北海道でも珍しい」に変えたほうがいいですね。

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やっぱ、狭いわ! かつ源泉は小さなポリバスだし。



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うーん…






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夕方6時でも、まだ明るい。宿の周辺の桜は、今日満開になったそうである。

今年は、桜どころではなかった。
いつ咲いて、いつ散ったかも覚えていないような日々だった。


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こんなところで花見をするなんて、思ってもみなかった私は、
ゆるくカーブを描いているそのしだれ桜の細い枝に、そっと指を触れてみた。





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ご主人が
「もう1組のご夫婦が一緒に入りたいとのことで、夜8時過ぎたら女湯をその方たちの貸し切りにします。だから男湯のほうに入ってください」とのこと。

おつまちゃん
「仲のいいご夫婦なんですねぇ」
そういうことかもしれないし、どちらかの体が不自由で介助が必要なのかも。





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食堂に座ってすでに食事していたのは、初老のご夫婦で介助は必要なさそうだった。
つまり仲良しさんね。

このご夫婦、かつて北海道に住んでいていまは福岡在住だという。子供が札幌にいるので、時々孫に会いに来るんだそうな。いつもはトムラウシ温泉に泊まるらしい。定年後の悠々自適の感あり。
あとでおつまちゃんは
「体ががっちりしているので、元自衛隊員ですよ、きっとぉ」と言っていたが、どうなんでしょね。

北海道、やたら自衛隊駐屯地あり。ここの北のほう、瓜幕にもある。


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さてお食事は~
うーん、つまり親戚の家に遊びに行き、
ささっ、たくさん食べてね、と言われ(あんまり料理は上手じゃないおばさんの手料理が)、
どーん!どーん!と色々出てくるがどーしたもんか…

というような…


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かつ、私は昼間のランチでまれにみる充実感の結果、おなかはすいてきたが本日はもはや何も食べなくていいわ、という状態だったので。


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どーん!どーん!は、つらかった。
おつまちゃんは頑張ってはいたが、つまり我々は大量に残したのであった。

先に立ち上がって去っていった老夫婦は完食していてお皿はきれいにからになっている。

「あー、悔しいぃ!」とおつまちゃんが言うので
「なにが?」
「だってあの奥さんだって全部食べているんですよー! きっと私たちがたくさん残しているのを見て
『なんて軟弱なやつ』って思ったに違いないですよ~ 悔しいぃ!」

え? そこで悔しがる?








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食休みの後、男湯に。

あーれー   なんじゃこりゃー 

半分じゃなくて、こっちは女湯の2倍以上あるでないの!!
源泉の湯船もポリバスじゃなくてちゃんとしたタイルだし! 洗い場も広々してるし!!

マイナス30て~ん!!!

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男女の風呂の入れ替えもなく、夜8時までは日帰りの人がいて、宿泊も通常は夜10時まで、おまけに冬は露天は閉鎖で内湯のみ。

わざわざ本州から冬にやってきた女性の宿泊客はかわいそー。

つまり車でやってこられる道内の人が真夏に
「今日はちょっとワイルドな道を通ってぬるい温泉に彼女と行って、うまくいけば冷たい源泉の混浴風呂で一緒に…」ということかな~

(2人で入ってアブに刺されっちまぇ~!)


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ま、男湯に運よく入れた我々はラッキーでした。

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男湯、露天も広めよ!

しかしここもヨシズ張りだった。

ぬるいからゆったり長風呂できてよかった。
時々加温のためのモーター音がするが、川音が聞こえる静かな夜。

そして、ある鳴き声が聞こえる。

「キーン キーン キーンっていってるの、何の音ですかぁ?」
「あれは鳥の鳴き声です」
「ええっ? 鳥? 生き物の声? 怖いですよぉ」

その間歇的に、しかし夜のしじまの中でいつまでも鳴く鳥の名を、私は多分知っている。
北海道だけでなく、福島、岩手でも聞いたことがある。
日本の古典文学にもたくさん出てくる、闇と冥界のお使い姫のその名を言うと、たぶんおつまちゃんは
「怖いですよー! さらわれますよー!」と大騒ぎになるであろうから言うのをやめた。

この人は本気で宇宙人みたいなものを信じているらしく、
「さらわれたくないぃ」と度々言うのだけれど、本当は潜在意識の中ですっごくさらわれたいと思っているんじゃないかと、私は踏んでいるのだ。

そうならそうと、さっさとさらってやってくれ~!




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朝ちょっとのぞいたら、男湯の露天はしっかり広めだった。マイナス10て~ん!


朝ご飯はパスした。
料金は安くならないけど。

私たちは駅でなく共働学舎に送ってもらえるかご主人に聞いたら、送ってくれるとのこと。

新得から鹿追町に行くバスは本数がなく、新得にタクシー会社はあるかと再度聞いてみると、ご主人はすごくいい人でチーズを買うのを待ったうえで鹿追まで送ってくれるという。
この方、近隣の清水町の出の方で、共働学舎の場所が分からず、宿に置いてあり私たちが持ってきた新得町の地図を見て連れていってくれたのだった。











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共働学舎 新得農場 アイヌ語で広場、という意味の<ミンタル>という喫茶・売店。


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オソウシ温泉で圏外だったスマホ、やっと通じて調べてみると新得にはタクシー会社があり、
チーズを買うだけでなくこの<ミンタル>でいろいろ食べてみたい私たちは、やっぱりタクシーで行くことにした。

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チーズの種類もたくさんあり、そしてパウンドケーキ、プリン、タルトなど、ここでしか買えないものがいろいろで、迷う。
そのうえ車でけっこう人がやってきてあれあれと言う間に無くなっていくものもあって、焦る。

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ラクレットを頼むと、その場で電熱のヒーターを使ってチーズを溶かしパンの上にかけてくれる。


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うお~っほ~  うまそおお~~~

アツアツ、トロ~リ、なんとも素直な、乳の味。そしてチーズが固まってきたときの独特の歯ごたえ。



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3種類のチーズ盛り合わせ。
真ん中の<さくら>というカマンベールは、塩漬けの桜の葉のほんのりとした匂い、
かすかな塩味、酸味ほどよく、クリーミーでよく熟成された豊潤なカマンベールだった。

それぞれが持つ、牛乳そのもののおいしさの凝固。純粋なおちちを味わう喜び。

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ホエイジャム入りのソフトクリーム。キャラメルのような濃厚な味わい。甘さもしっかりある。

が、せっかくのおいしい牛乳なんだし、これはホエイジャム入れないで純粋な牛乳のソフトクリームでいいと思う。
おつまちゃんも同じ感想を持ったようだ。

乳製品はおなかいっぱいになる。

私たちはこれから鹿追町でお蕎麦も食べるつもりなのだ。
(このおなかの状態で入るだろうか… しかしここで挫けてはいけない!  頑張らねば~ それが今回の旅なのである)





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ときどき小雨が降る。風はまったくなくて、静かに降る。
白樺の新緑が綺麗だ。

晴れていたら、ちょっと散歩したいところだ。


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また来ることがあったら…



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緑色の光に染まった小道をひっそりと歩いてみたいと思った。







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鹿追町の、マンホールより小さな金属の蓋には、色付きの鹿さんが。


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この町の蕎麦屋は4~5軒あり、それぞれ特徴があるようで、今回おつまちゃんは
「<おふくろさん>に行きましょうよ!」

タクシー、前回も買い込んだ道の駅で降り、またしても買い物。
なんとおつまちゃん、丼まで買い込む。
「煮物入れる器にいいと思って」
しかしどう見ても煮物鉢というより、しっかり丼。
私は新鮮な野菜や氷室じゃがいもなど買い込み…  こうして2人とも荷物がどんどん増えていき…
大黒天のような大袋持って移動。 でもねっ いいの! こういう嬉しい土産は重くないのっ!

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素人のおばあちゃんたちや町のおばさんたちがお蕎麦を打ち、茹で、作っている。


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もり、かけ、500円。
好きなお蕎麦の組み合わせ2種類で850円。




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2人とも温かな山菜蕎麦と冷たい山かけ。


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おつま、完食。私、少々残す。
だってね、丼けっこう深いのね、そうとう入っていたの。

10割蕎麦にしては、ブツブツ切れない蕎麦で、店名の通り素人ぶりを貫いて一生懸命やってる、
鹿追の年増のおふくろさんたちでした。









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パティスリー・ロクまではいくらなんでも歩ける距離でなく、鹿追ハイヤーまで歩いていって
部屋の中でテレビ見ながら居眠りしていたおじさんを起こしてタクシーに乗る。1,000円。

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だが量のある蕎麦の直後で、さすがにケーキは食べられずお茶だけ。

しかし私は3個、おつまちゃんは1個テイクアウトしました。ここのケーキの誘惑には勝てず。荷物がまた一段と増えたのでした。

おつまに
「あ~ 3個も買うんですか~」って言われたけどね、このケーキなら食べられるも~ん!

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生クリームに弱い私が、パクパク食べちゃうケーキなのだ~!







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さあ、ここからバスに乗って、今日はこれから然別湖に。

あした天気になあれ。

カヌーに乗るんだから。











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