(20010年11月15・16日 2人泊 @1泊目 夕食のみ 6,600円 2泊目 夕食のみ・連泊割引 5,700円)
電車で寝ていたまちこもすっかり目が覚めて、お昼過ぎに着いた摩周駅。
これから駅のそばの喫茶店に、お昼を食べに行くのである。
三香温泉のご主人がその店に迎えに来てくれる。
駅から歩くこと2~3分、<人形の家>というお店。
メニューを見るとドッカンとしたハンバーグやボリュームのあるスパゲティなど。
まちこは朝食をしっかり食べているが、私は朝食の大きなパンは食べられなかったので少々空腹感を感じて、オムライスを頼んでみました。
地元で数少ない飲食店、ご近所の常連さんや、何かの会のグループ、幼い子供を連れたお母さん、私たちのテーブルのすぐ後ろには若いカップル、と客層もさまざま。
お味はふつーよ。量はたっぷり。
後ろの若いカップル、中学生のように幼く見えたが、その会話がすごく面白くて耳ダンボにして聞いちゃった。
どうやら少年と少女は修学旅行で行ったらしい遊園地での乗り物を話題にしていた。
2人でひとしきりジェットコースターや観覧車の話で盛り上がり、その後少年が
「おれ、魚嫌いなんだ。ウニとかカニとかも」
(2人はジュージュー音がする鉄板に載ったハンバーグを食べていた)
少女が「えーっ なんでよ、なんで嫌いなの?」
「気持ち悪いもん。イカとかも嫌いだ」
「なんでよ、ちゃんと食べてないんじゃないの? カニの味噌とかおいしいよ~」
「味噌? あの黒いやつだろ? 気持ちわりー」
「えーっ 人生損してるよ! 目をつぶって食べてごらんよ!おいしいから」
「いやだ!食えねー」
「人生損してるよ!絶対!」
(私は必死に笑いをこらえた)
その後彼らの話題は
「xxはマクドに行ったときに、食べ終わったやつを店員探して返したんだ。あいつマクド初めてだったから」
(? どうやら友達がマクドナルド初体験であったらしい)
そして少年は言った
「あーあ… せめて釧路だったらな~ 弟子屈(てしかが)じゃな~」
その後彼は
「今度生まれるときは、都会に生まれてえーーー!」 と嘆いた。
あらまあ、代われるものならおばさんが代わってあげたいよ~!ホント!
都会のど真ん中に住んでごらん!ふるさとが一番って思い知るよ、きっと。世の中、うまくいかないねぇ。
今日はデートなのだろうか? 連れだって店を出ていくまだあどけない姿を見ながら、
彼らはこれからどんなところに行くのだろうか、と思った。
もう木々はすっかり葉を落としていて、
厳しい冬への準備をしている。
この木にはこんなにたくさんの葉が付いていたんだ!と、驚くほどフカフカに敷き詰められた落ち葉。
季節が巡るということを目で確かめられるのだ。
そしてある朝、すべてをおおい尽くして、一面に白い世界が広がるのだろう。
さっきの少年は生まれてからずっとそんな光景を見てきたに違いない。
私が経験したことのない瞬間を、彼は見ているのだろう。
目には触れていても、見えないものはたくさんある。
都会に行って違う視点で故郷を見ることも必要かもしれない。なにより彼には、帰ってこられる故郷があるのだから。
あらっ~?! 露天に木の枠が!! まだ製作途中だけど。
それだけでずいぶんと雰囲気が変わって、なんだかとても明るく感じられる。
たいへん残念なことに、気温が高いのね… このお湯の熱さがたまらなく嬉しい、ピリッとした寒さじゃないの…
でも3種類の温度の違うお湯に入って、久しぶりにこの湯船の中に足を伸ばすと、
開放感と、そして体全体がほどけていくような清々しいリラックス感を感じる。
まちこもすごく喜ぶ。
本日は1階のお部屋です。マッサージチェア付き。まちこ、ただちにトライ。
あら、座布団が新しい!
2人で薪ストーブの前に座って餌台を見るも、何も来ない。
へんね??
そしたらまちこが
「あっ! 下に猫がいるよ!!」
茶色と白のブチの猫が、縁の下から上をじっと見上げている。
小鳥は餌台に降りようとした瞬間猫に気付いて餌台に載ろうとしなかった。
あーあ… 野良猫も必死だよね。
それは分かるんだけど…
この餌台に訪れる様々な鳥とエゾリスを楽しみにしていたので、ちょっと寂しい。
つまり…
宿をやめる方向じゃないってことでしょ?
だってやめるんだったら、わざわざ露天に木の枠なんか取り付けないでしょ?
それに露天の壁に新しい窓が作ってあったし。ちょっとずつ変化を感じるし。
それって宿を続けていこうってことでしょ?
…とても嬉しかった。
うわばみのようにとめどなく酒を飲んだまちこは、体を壊してからピタッと禁酒しているので、私もアルコール抜き。
いや、別に私が飲んでも羨ましがったりしない意志は持っている子なので問題はないのだが、
最近私は酒はなくていいや~モードなのね。
お給仕してくれた奥さんが
「デンプンばっかりですね~ すみません」
いいの、肉ジャガもカボチャもポテトサラダも大好きだから。
まちこも
「野菜、おいしいねえ」
チーズもトロトロで、中のタラも熱々ですごく幸せな気分になるの。
「おいしいね、タラコとコンニャク」
「おいしいね、切干大根」
そしておなかいっぱいに。飲まないから短時間で終了。
しみじみと「ごちそうさまでした」と言えることって、大事よ。
はにゃっ!!!
も…もしかしてお布団が…
変わっている?
おお~ 掛け布団も敷き布団も新しくなって、そして…
掛け布団は軽くなっていた~~~!
夜の露天で……
湯面を滑っていく美しい湯気の動きをカメラに収めようと…
空しい努力をしたのだが…
やがて、そんなことをしても無駄だと気付いたのであった。
新しくできた窓から、温かな光がもれていた。
ほら! クラシックなガラスを使った窓なのよ!
まちこは1人で朝食を食べて、朝食を食べない私は朝のお風呂三昧。
カラマツの落ち葉が浮いたお風呂を楽しむ。
こっちの餌台にも小鳥は来なくて、これもノラ猫の影響かもしれない。
厳しい自然の環境だもの、動物たちもそれぞれに生き延びる方法を会得しているのだろう。
宿の裏には、冬を乗り切るための薪にする木々が。ここにあるすべての木を薪にするのだろうか。
チェーンソウで切られたらしい丸太の年輪の中に、放射状にある小さな年輪を見つけて、初めて見るものなので驚いた。
丸太の表面には枝がはえていた跡があり、この小さな何輪たちは枝の年輪だということが分かった。
木が成長しながら、枝もまた年輪を刻んでいったのだ。
ここまで生長するのに何十年かかったのだろう?
とても綺麗な年輪。そっと指で触れてみた。
植物の驚異。
命絶えてのち、そして長い時間がたってなお、
いまだ芳しい香りを放っていた。
肌色の木目はその美しさを損なってはおらず、日差しに輝き、冬の初めのある日、燃料にされるのを待っていた。
時に柱や梁となって家を支え、時に家具となりあるいは器となり、そして人間の暖となり、燃やされた灰は次の世代の糧となる。
省みて人間は…
…いまは考えないようにしよっと!
本日は2階のお部屋に移動。この部屋はぽかぽかと日差しが入り、まちこはまた心地よさげにお昼寝である。
私は散歩。
木々は葉が落ちて、モサモサと茂った時季には分からなかった山の稜線がくっきりと見える。
とても澄んだ空気の気持ちよさ。
収穫されたビートの山があちこちに。
ビートって、砂糖大根でしょ? 近づいて見ると、子供の頭くらいの大きさ。こうやって暫くおいておくんでしょうかね。
どんな味がするのか…
ちょっと齧ってみたい気がしましたが、重そうで、かつ人のものだし…
泥も付いてるなあ… と、見ただけ。
これがお砂糖工場に運ばれて、搾って煮詰めて砂糖になるのかしら?などと思った。
この生き生きとした緑色の草は何だろう?
後で聞いたら小麦だということが分かった。
世界がくすんだ茶色になっていく中でなんて素敵な緑色! 雪を耐えてのち春に実るなんてなんという生命力。
空が抜けるように青く…
穏やかな、自然の中の一日だった。
お昼寝から覚めたまちこが、窓から下を見て実況中継をしてくれたのね。
「あ!散歩から帰ったハスキーのほうをじっと見てるよ。あ!まだ見てる。あー!じーっと見てる!」
何をかって、つまりお散歩させてもらったハスキーを羨ましげにじーっと見ている柴犬ちゃんの実況。
「じゃあ柴犬ちゃんとお散歩しようか~」ってことで、柴犬のキンタを連れてまちこと再度お散歩。
このキンタはとっても面白い顔の犬で、だいたい犬って逆三角形の顔してるでしょ?
この子は真ん丸な顔で、目が小さい、ファニーフェイス。
調子にのって
「キンタ、走れ~!」と言って走り出したもんだから、キンタは本気でダッシュして、私は危うくリードに引っ張られてこけるとこでした。
その後はお互いに節操をもって歩くことにした。
キンタはこの時とばかり、2~3メートルおきに止まってマーキング。
そんなにオシッコ出るもの??
刈り取られた餌用のコーンの畑にはたくさんのコーンが落ちていて、白鳥の親子がついばんでいた。
とてもいい夕暮れだった。
「雪が降ったら、またここに来たい」とまちこは言った。
そう、私も雪の降る時季に、また来たい。
今日の夕食はお鍋だったんですけどね、写真撮るの忘れちゃった。
酢味噌和えのネギがやたらおいしくて
「このネギ、なんてうまい!」「ホントだ! ネギおいし~い!」
「鍋うま~」「ホントうま~」
などと叫びながらどんどん食べてて…
うまかったわけ!
翌朝も暖かかった。
私的には不満であった。しかし静かで明るい朝であった。
今度来るときには、この木の枠が完成してるかな?
そんな楽しみを感じながら朝のお風呂に入った。今日は帰る前に、ご主人が車で<神の子池>に連れていってくださるのである。
<神の子池>に行く前に<多和平牧場>に。
ああ~~~ 誰もいない! すごい優越感。
人が多すぎるところに住んでいるので、この無人感がなんとも気持ちいい~~~!!
360度見渡せるよ~!
地平線が見えるよ~!
何が素晴らしいかってね、自分が生きてる存在感を感じるのよ!
遠くにポツンと1頭だけで草をはんでいたポニーに
「おいで、おいで~」って呼んだら、
ポクポク近づいてきた。
柵の間から顔を出してきて、撫でてやると、温かかった。
寂しかったのかもしれない。
ここが<神の子池>。
最近はちょっと注目され始めて駐車場のスペースができたらしいが、手付かずに近いこの自然を、維持してほしいと思う。
小さな池であるが、水の透明度が大変高くてものすごく澄んでいる。
間近に倒木が見えるが、深度は4~5メートルあるらしい。
日本の風景ではないような、チベットや中国の奥地の池のようであった。
地下から水が湧いていて、水面には常に細かいさざ波がたっている。
静かで空気は冷たく、幻想的で、じっと立って見つめていると眩暈がおきそうであった。
でも浅瀬にはオショロコマ(岩魚の一種)がたくさん泳いでいて、そんな魚たちの存在にホッとしたりする。
生物が住めない池ではないということが分かって。
稀有な、北海道ならではの、とても印象深い風景を見せていただいた。
釧網線を南下して釧路へ。
まちこも<六花亭>に連れてってやらにゃ!
ミルクの中に苺と苺ソースが入ってるの。かき回していただく。
私、あんまりコーンって食べないんですが、コーンのピッツアを食べたくなったんざます。
抹茶のミニパフェ頼んでみました。
いや~ 濃厚な抹茶の味に驚いた!
満足~~~!
そういえば、この間はこの川岸の土手を、お父さんと白い犬が登っていたよな…
夕焼けの雲が流れる。
「来年2月にまた連れてきて~」ということは、まちこも覚悟してるみたいで…
暮れ、正月はわれら過酷にせっせと働き…
えーっと、私はそれほどでもないけど。いちおう形だけはせっせと働き、
まちこは名実共に働き、お互い旅費を稼ぎ、
そして また来よう!!
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