(2011年5月6日 ペンション・ハイネ 1人泊 @7,000円 5月7日 ホテル恵風 1人泊 @11,500円)
函館空港のソフトクリーム食べたくって…
だって北海道のソフトクリームだもん。
しかし、がまん。
あ~ こっちにもソフトクリーム… がまん。
がまん、がまん。
そして函館駅まで来て、「スナッフルス」。
ベリーのケーキ!
1週間前くらいから、ケーキ食べたくて仕方なかったのだ。
けれど東京で食べて後悔するより、じっとがまんして函館のおいしいケーキとソフトクリームを食べなくちゃ!
なぜって、ちょっと特別の誕生日のケーキだからよ~
特別の誕生日ってったって、たいした意味はないんですけどね。
それなりにそれなりの、しかし節目の、誕生日だったんだわさ。
めでたくもなし。よ。
しかし、ここでこれを食べられて私は幸せであった。
函館駅、というターミナルステーション。
ややカーブした駅。
特急の発着時以外は、こんなに人がいなくていいんでしょうかっ というくらい、ひっそりとしている。
私にはそれが嬉しい。
今日は、普通列車に乗って大沼公園駅に向かう。
イクサンダー大沼カヌーハウス。
本日も1人で漕がせてもらう。
去年の最後のカヌーは、風との闘いだった。
カヌーを降りてから
「よく頑張りましたね、今日は体育会系男子でもちょっと大変な日でしたよ」と褒めてくれたけど…
そんなに大変なのが分かっているんだったら、言ってくれればさっさと中止したのにー!
というほどえっらい風が吹いていたのだ。
わたしゃ修業は嫌いですねん!
事前に電話して「風吹いてたら、やりません!」
「あ~ いま風、吹いてないよ~」
もう何回も同じコースを通っているので
「今日はSL見ましょう」ですって。
道には数人の撮りテツが並んでいる。
沼から見てるのは我々だけよ! ちょっと優越感。
灰色の煙が長く長く続く。
かつてはトンネルに入ると
「もたもたしないで早く窓閉めなさい!」って言われたその煙りも、こうやって見るとなかなか情緒がある。
何度も汽笛を鳴らしながら、去っていった。
灰色の煙が、しばらく残る。
その長くたなびき、やがてうっすらと消えていく煙りを見て、
年齢も職業も違う様々な人々の人生を乗せて、この列車は私の目の前を去っていったんだなあ… と、
湖面に漂いながら感慨にふけった。
新幹線が通ったところを見ても、多分浮かんではこない思いだろう。
大沼のおいしい水でサイフォンのコーヒーを淹れてもらい、しばし休息の後、帰路に。
帰りは風が吹いてきて、結構頑張らねばならなかったわ。
頑張るの、嫌いですねん…
鏡のような水面を滑るように漕ぎたいもんだ~!
大沼公園駅から歩いて5分ほどのところの「ペンション・ハイネ」って宿にしたの。
近くて安かったから。しかしペンションってなんかちょっと恥ずかし…
ご主人が
「夕食後だったら近くの温泉にお連れしますよ」と言ってくれたんだけど
歩いて行けないので迎えに来てもらうことになり、めんどうだからやめたの。
しかしここの風呂ふつーの風呂だったので、やっぱ温泉じゃないと疲れが取れないな~
という感想を持ったのでした。
カヌーの最後の30分はそうとう力入ったしね。で、偏頭痛ひどくなり、薬を飲む。
この食堂、目の前に函館本線が通っているんです。
食事の始まりに
「いまそこにトワイライトエクスプレスが通ってます」って状態。
その後も度々貨物列車なんぞが通り、
窓辺にテッチャンがひしめきあっても不思議じゃないようなペンションですが
本日熟年カップルと若いカップル、そして1人泊の男性と私の計6人。
ワンドリンク、サービスですって。
ほたての刺身は不思議な味だった。
縦に切ってあるせいか? なんだか刺身じゃなくて半分火が通っているような…
そして鳥のレバーのパテもちょっとにおいが…
牡蠣は、まあふつー。
えーっと… マコガレイと海藻。あんまり味がしない。
えーっと… これは魚介とアボカド。あんまり味がしない。
えーっと、これはゴボウの下にツブ貝があるんだけど、ツブ硬かった。
野菜はとっても新鮮でおいしかった。
ドレッシングがドバッとかかっていたので、しっかり味がしたし、<めぐみ>というコーンも甘みが強くおいしかった。
やや冷凍の水っぽさはあれど、歯触りは十分残っていて、きっと採れたてのフレッシュなコーンだったらどれほどおいしいことであろうか。
<ブイヤベース>と言われたが、サフランは入っていないので魚介スープ。
ご飯はとてもおいしい。
ひとくち牛肉。
デザートはリンゴの煮たのにクリーム。
コーヒーは出なかったので、お茶で締めた。
多分、こういうふうに味はともかく色々出てくるのって
「おいしかった~」などと言う人が多いんだろうな。私の前方の若いカップルは喜んでました。
頭痛、やや収まるもスッキリせず。
食後、散歩。ほとんど車も通らず、人通りは皆無。
まだ列車が通るのだろう、明かりがついている大沼公園駅。
8時過ぎだが、駅前も人通り皆無。
私は10分ほど歩いて公園の中まで入り、沼の端にある暗い橋まで歩き、その橋の中央に立った。
橋の前方の闇には明かりひとつなく、歩いてきた背後には街灯がポツンポツンとある。
空気は湿っていてひっそりと静かで、時折 ポチャッ とか ジャボン と小さな水音が聞こえる。
人っ子一人いない暗さの中、橋の中央に立つときにまたしてもよぎること。
深い闇とかすかな明かり… この世とあの世の… ここはまるで生と死の境界…
私は思わず深くこうべを垂れ、一瞬にしてその境界を超えていった数多くの人たちのことを想い…
…… 祈った。
朝露がおりていた。
どんよりと曇った日で、窓の外はまだ早春の気配だった。
昨夜のへんな魚介のスープより、野菜のたくさん入ったスープは、それぞれの野菜がおいしかった。
サラダの野菜もおいしくいただいた。
ホタテのヒモのマヨネーズあえみたいなものは残す。
大沼、また来たいんだけど宿がいまいち決まらん…
そして世間的には<肉体労働>って言わないだろうけど、私にとっては風の日のカヌーは大変な<肉体労働>だから、
そのあとは温泉でじっくりと疲れを癒したいのね~
でも、1人でカヌーを漕ぐときの今後の課題も分かったし、ちょっとステップアップもして、
それがとってもよかったの~!
10時のチェックアウトで宿を出て、列車の時間まで大沼公園を散歩。
どんよりと静かな水面を、白いアヒルが音もなくせっせと泳いでいった。
通ったあとには放射状にさざ波が広がり、それが消えてしまうと、また静かな水墨画のような風景になった。
連休中なのにやはり人は殆どおらず、もちろんいつもここで自転車を連結して大騒ぎしながら大勢で楽しんでいた中国からの観光客も皆無だ。
そんな人間の行動やら心理状態とは無縁の植物たちが、巡り来る春の目覚めを体現していた。
大沼公園から特急に乗って函館に。
函館の大通りを歩いていたら
あーーー!! 危ない! あっ あーーー!!
車がかなり往来する通りを猫が飛び出して突っ走ってきた~!
何て無謀なこなのー! 見ているわたしゃ冷や汗だよ~ しかし無事に横切ってするっと路地に。
こら! ドキドキしちゃったじゃないか。
横断歩道を渡りましょ!
え? ここ蕎麦屋? あら、手打ち蕎麦って書いてある。
あ、ちょっとおなかすいたし、蕎麦、いいかもね。しかし函館の蕎麦ってどんなもんでしょね?
カウンターだけの店だった。座ったらすぐに
「蕎麦湯、どうぞ」って出してくれた。
へ~~~ 意外。
<小海老のかき揚げ>がお薦めってメニューにあったので、頼んでみた。
おじさんが蕎麦を茹でてる間に女性が天ぷらを揚げる。
出てきた蕎麦がけっこう東京っぽくってちょっと驚く。
衣が薄くて海老プリプリしてておいしい。
せいろもおいしかった。
ちゃんと山葵が付いているのもまた良し。
へ~~~ こんなところでおいしいお蕎麦食べられるとは思ってもみなかったから、
なんか嬉しい。
無謀猫さまさま!
本日の宿、恵山の<恵風>は函館駅から送迎してくれるので選んだのだった。
今回2泊なので、あまり時間のゆとりがなく、ホントは<恵山温泉旅館>のお湯に浸かりたかったのだが…
時間つぶしに歩いていたら今川焼屋さんを見つけた。このチェーン店は有名らしく、そして函館の人はすごく好きらしく、私が2個買っているときに入ってきたおばさんは
「15個ちょうだい」と言っていた。
小豆だけでなくクリームとか数種類あり、東京の今川焼の1.5倍くらいの厚みがあった。
味は今川焼よ。厚みがあるから食べるとき口を大きく開ける、という違いがあるけど。
12時半に送迎車に乗る。ここでは私1人。
このあと湯の川のダイエー裏で中年のカップル乗車。
路線バスで2時間かかるところを1時間でぶっ飛ばして恵山に。
スマホのGPSナビで見ながら。
走っているところの地形が分かって面白い。
恵山、海からものすごい勢いで霧がたなびいていた。
車はどんどん高台に上っていく。
着きましたわ~
お安いし、多分公共の施設なんでしょう。日帰り施設に力を入れているらしいが、最近宿泊者専用の風呂ができたみたいである。
そこら辺中、ツルツルピカピカしている。
フロント。食事、風呂など一通りの説明を受けて鍵を貰い2階に。
10畳、廊下付き。
窓からの風景。晴れていれば正面に海が。
洗面、トイレもそつなくきれい。
3階の宿泊専用風呂に。
泉質は食塩泉と炭酸水素塩泉の2種類とのこと。
多分循環してるんだろな~
ちょっと窓の外を伸びあがって見ると、恵山が見える。
まだ春は早く、緑もまばらだ。
岬には霧がかかり、風は潮のにおいがする。
できたての露天は檜のにおいがした。
だれも来なかったので、水でジャンジャンうめて適温にして、長風呂できた。
しかしイマイチ温泉感に乏しく、<恵山温泉旅館>のお湯がとっても懐かしかった。
「まあ一応温泉なんだから」と自分を納得させるも…
ちと難しい部分があって…
いや~ 日帰り施設のほうに山川牛乳のソフトクリーム売ってた!
あの、瓶の蓋を取ると裏側にクリームがこんもり付いている、フレッシュミルクの味で、
あっさりさっぱり、かつ濃厚、氷のざらつきはあるがそれもまたミルクの味、一度は食べたかった念願のソフトクリーム、満足満足~
夕食は食堂で。時間は選べる。
すでにセッティング。
すぐに鍋に火を入れてくれる。
6時半だと表はまだ明るい。
海のそばだから、魚はおいしい。ウニもメッチャうまい。このくらいの量だと圧迫感なしにいただける。
ホタテもおいしいんだけど、ヌルヌルする海藻をまぶしてあった。ヌルヌルないほうが好き。
タコのお刺身も柔らか。
鍋はタラと海老。薄味でフキなどの野菜も香りがよかった。
ボイルした鶏肉と野菜のサラダ。
厚手のボリューミーな鶏肉。
中華風、ケチャップ味の海老をあとで持ってきてくれた。
えーっと… 昼から海老だったし…
刺身にも鍋にも、で、少々海老責め感あり。
お米、おいしい。お味噌汁にはホタテの赤ちゃんがたくさん入っている。
牛肉のステーキ、と言われたが、表面をさっとあぶったくらいのレアなお肉で、
お肉の味はよいがやや硬い。
偏頭痛ぎみの私はやたら残してしまったが、周りでは別注の品を頼んでいたり、ビールを盛大に飲んでいたりと、いろいろ楽しんでましたね~
本日かなりの宿泊数のようです。
コーヒー、紅茶、お茶を選べるので、デザートにはコーヒーをお願いしました。
雨がパラついてきて、濡れたコンコースに池のライトが反射していた。
表を少し散歩すると、相当数の車が駐車していて、送迎車を利用する人より車で来る家族連れが多いのだろう。
夜、風呂場で話した女性は、夫婦で車で苫小牧から来たという。
五稜郭の満開の桜を見てからこの宿に。地震はほとんど影響なかったらしい。
「ここはお食事がいいから」と言っていた。夕食だけでなく朝から刺身だそうである。
朝は晴れて、海が輝いているのが見えた。
食事前に散歩。
恵山の山頂には霧がかかっている。
5月も終わりとなれば、つつじが咲き乱れて山をおおうらしい。
ブラブラと歩いていたら、突然カラスが至近距離に舞い降りてきて、ほんとうにびっくりした。
そんなことはあるまいが、印象では目の前10センチくらいをかすめて芝生に降りたような感じだったのだ。
つやつや黒々とした羽、頭の羽の立ち方も綺麗でちょっと可愛く、その頭を撫でてやりたい衝動にかられる。
しかしなんなんだよ~ 歩き出すと、ひょこひょこ後ろから付いてくるの!
なんなのー? カラスに好かれるおばさんってのも、ちょっとなんだわね。
「面白いことなんかないよ!」と言っても、小首を傾げてこっちを見て、また付いてくる。
えー… やーね。
しばらく後に付けたまま歩いていくと、やがて緩やかに飛び去っていった。
やっぱりつまらなくなったのかもね。
窓から見て足湯があったことを思い出し、行ってみた。
船の中に玉砂利が敷かれ、お湯はかなりぬるかったが、足を浸けてみると気持ちがいい。
そのまま潮風に吹かれてボーッとしていたら、
宿の人が気を遣ってやってきて
「ぬるくないですか?」と聞いてくれた。
「ぬるいけど気持ちいいから大丈夫です」
周りの風景を見ながらしばらく座っていると、汗が出てきて、そういえばこのお湯の味は?
ちょっと口に入れてみると食塩泉らしいがあまり塩分は感じられない、油臭がするわりと複雑な味だった。
この足湯のこの時間が、今回の一番いい温泉だったかもしれない。
朝食のバイキング、刺身やら焼き魚やらいろいろあった。
私はこんなもんで…
サラダバーのプチトマトがやけにおいしかった。食べ終えてプチトマトだけもう3個取ってきた。
そのとき。
あ! ペンタクルのスター…
私はプチトマトにこんな美しい緑の五芒星が付いているなんて、初めて見たのだった。
私がスーパーで買うプチトマトは、ここのガクの部分はチリチリッとなっているのだ。
つまり採ってから時間が経って枯れていたってことね~
この宿は特に野菜をウリにしてはいない。
近くの八百屋からごくごくふつーの仕入れをしているのではないだろうか。
こんなに新鮮な緑の星の付いた野菜たちを。
こういう素敵な経験をすること、それが北海道に来ることの醍醐味といえるかもしれない。
帰りに送ってもらう車の中で、この辺の津波の状況を聞いてみると
「このあたりは昆布の養殖をしているんですが、2mほどの津波だったので大したことはなく、おかげさまで被害はありませんでした」とのことだった。
しかし2mといっても人間の背丈より高い波がここに押し寄せたのである。
それを想像しながら灰色の海を見つめていると、総毛立つ思いだった。
延々と連なる海岸線から目を離したくても離せない、どこか必死になって見つめている自分がいた。
恵みも、そして災害も、共にもたらす自然である。
海のそばで海と共に生きてきた人々にとって、被災したからといってその生き方を変えることなど、とうていできないことであろう。
暗い色の波打ち際は続き、そして私自身島国に生きていることを改めて気付かされたのだ。
多くの日本人が、この海に対して、
津波という災害によって激しく拒否されたように感じ、憎しみや恐怖や絶望感を覚えながらも、
どこかで、けして断つことのできぬ深い愛情をいまも持ち続けているのではないだろうか、と。
それが日本の周りを取り囲む海という存在なのだ… と…
考えながら、車に揺られていた。
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