幌加温泉 4回目の鹿の谷

(2012年3月4・5日 2人泊 2泊で8,000円<暖房費込み> )






幌加温泉 4回目の鹿の谷

バスが幌加温泉入り口に着くと、車が止まっているのが見えた。
まちこが
「あっ 迎えに来てるよ!」

少年の面影の残る、二十歳前後の若いおにいちゃんが迎えに来てくれたのね。

女将さんのお孫さんじゃないだろうし・・・
誰かな~ 
十勝三股に住んでる家族のお子さんかな~
などと思いながら車に。

凍った雪の上を車はガリガリと音をたてて進む。


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食糧、もっと買ってくればよかったか。
30分歩くことを考えると、あんまりたくさん買いたくなかったのだ。




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私たちは<オランジュ>のランチでタラフク状態となり、
帯広で唯一のデパート<藤丸>の地下の食料品売り場を、
「何を買う? 豚肉以外のもので」 
(私は<オランジュ>でこってりした豚肉料理を食べてしまい、豚はとうぶん食べたくなかった)
などと言いながら放心状態でさまよった。

まちこはまちこで
「どうする? 野菜とか・・・」などとは言うが野菜売り場で手に取ることもせず・・・

地下食品売り場はあまり適当な物もなく、
3回ぐらいグルグル回ってお惣菜と鮭2切れと牛肉のこま切れとをカゴに入れて、
なんか、もういっか~、の気分になってしまったのね。

おなかパンパンの時に自炊の食糧調達をすべきではなかった。反省。









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日帰りの人たちが帰ってしまうと、薄墨色の光に染まってきた露天は静かで、穏やかで

ああ・・・ 
鹿の谷に来たんだなあ・・・

と、胸がいっぱいになる。


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動いているのは鹿だけ。




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雪がとけてほんの少し黄緑色になった短い草を、ひたすら、モクモクと探して食べている。





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1頭だけ、離れた斜面の雪を後ろ足で激しく蹴り掘って、雪の穴に顔を突っ込んで食べてるのがいた。
あそこにおいしいものがあるんだろうか?

夕闇が迫る中で、鹿が雪を蹴るかすかな音が聞こえる。

お湯はぬるめで心地よく、風もなく、頬はひんやりと、至福の時が流れる。
この時間を知らない人はかわいそ~! なの。







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おかずが足らないんじゃないか、とやや心配していたのだが
女将さんが
「貰いものですが、食べ切れないのでどうぞ」と、しっかりしたお豆腐と大きな油揚げをくださって、
さっそくそのまま冷ややっこで戴きました。

きっと評判のいい地元のお豆腐をお土産に持ってきた人がいるんでしょう。
沖縄の島豆腐みたいな全然崩れない硬さの、大豆の香り豊かなお豆腐だった。

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鮭ね・・・

これを選んだのは、2切れのパックだったから。
これ以外は5~6切れ入っていたり、切ってなくてやたら大きかったりで、
まちこと
「なんとか漬けって書いてある。何かに漬けてあるのかしら、2切れだからこれにする?」
「いいんじゃない、これでいいよ」


これ、大ハズレ。
塩から過ぎーーー  やたら喉が渇く。涙出る。

いったい何漬けなんだ?

「帰りに藤丸デパ地下に寄って、今後のためにこの鮭が何漬けだったか確認しなくちゃね」
と、話し合いました。

粗食ね。でもこれでちょうどいい。






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本日は女将さんと私たち2人だけである。

10km四方に、人間3人だけだと思うと、私はなんだかとても嬉しい。

ここでは人間より鹿のほうが多い。





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混浴の内湯も入り放題。
外気温が低い時は、どの浴槽も熱め、ぬるめもそれぞれほどよい温度で

やっぱ温泉は冬よね~










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古い木造だけど断熱がしっかりしてるから、
日が当たってくると暖房は入れなくても20℃だった。

今年我が家が一番寒かったのは室温11℃で、
なんかちょっとヘン、どうしたんだろう? 
あ!そうか。うちにはエアコンがあったんだと気付いてエアコンをつけたのであった。
私はいつもは冬場のエアコンは使わないのね。

鹿の谷、うちよりずっとあったかいの! 





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爽やかに冷たい空気がおいしい。

和らいだ日差しが春の到来を告げていた。


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露天の周りは湯気が凍って、一面綺麗な結晶になっている。






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サクッと音がする。


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キラキラと輝く。



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自然が造りだす、流れる時間の中で、ただ一度しか見られない、一回だけ出現する美しい形。



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蜘蛛の糸まで霜が付いている。

かすかな風に揺れる。



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枯れ草の一本一本に着いている氷の結晶。





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唯一無二のものたち。

それがここに存在する。







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温かな湯気に包まれて、内湯に入る。


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豊かなお湯の音が響く。
幸せな朝のひと時。

湯気の向こうに、今日一日の始まりが見える。












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昨夜からだれも入らなかったカルシウム泉には、
湯面にたくさんの湯の花が舞っていた。





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湯の花、独り占め~



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持っていった紅茶を飲むので女将さんに
「大きめの急須ありますか?」とお尋ねしたら、
しまってあるティーポットとティーカップをわざわざ出してくださった。

昭和半ばくらいのティーポットだろうか。
ノリタケのカップも、懐かしさを感じる柄だった。


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2階に、BS放送が見られるテレビ部屋ができていた。



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ポカポカあったかい部屋である。









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迎えに来てくれた若いおにいちゃんは毎日通ってきていて、露天のお掃除や屋根の雪下ろしに忙しい。

雪下ろし、というより、氷割り、みたいな状況である。
屋根に上ってゴム製の大きなハンマーを振りおろして屋根の氷を砕いている。

ハンマーを振りおろすと、建物全体にズーン、ズーンという振動が走る。
鹿は慣れているらしく、全然驚かないで見上げている。



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しばらくズーン、ズーンが続くと、おにいちゃんは時々休んで天を振り仰ぎ、肩で息をしていた。
若者でも重労働なんだろうな~


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氷の破片が鹿の前に飛んでいくと、鹿たちはいそいそと近づいて食べるそぶり、
そして
「なーんだ、食べ物じゃないんだ」みたいな顔になる。









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2日目の夜、細かい雪がサラサラ降ってきて、まちこと2人、雪の露天に向かった。
私はタオルが濡れないようにビニール袋に入れて持っていった。

露天に入って2人で
「うわ~」「うわ~」と喜んでふと背後を振り返ったら、
露天の縁まで来た鹿の顔が、目の前にあった!

目の前30cmで見るエゾ鹿の顔は、湿って光る鼻も、黒々した目も、そして耳も、すべて巨大だった。

私は「どうしたの、こんな近くに来て!」と叫び、
まちこも「えーっ! どうしたのー!」と叫び、
驚愕、困惑、混乱、やや恐怖、このまま風呂に入ってきたらどうしよう・・・

そのうちまちこが
「あっ また来た! あっ もっと来た! えーっ 3匹も来てるよ!」
鹿4頭、風呂の縁ギリギリでこっちを注視。

ここではおじさんとの混浴は許容だけど、鹿と混浴は絶対いやよー!
野性の鹿にあるまじき行為よー!

あれ? 


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あ、ビニール袋だ!

まちこも同時に気付いた。
「ビニールだよ、ビニール! 袋を隠したら?」

冬の間、餌のない鹿を不憫に思って、女将さんが高い野菜なんかを与えているのだ。
多分ビニールの袋に入れたのを持っていって与えているのだろう。
耳ざとく、その音で「何かくれるの?」になったらしい。

ビニール袋をそっと岩の下に置いてしばらくすると、何もくれないことに気付いた鹿たちは去っていった。


その後には、小さな川音と心地よいお湯の音だけ。

粉雪がサラサラ落ちてきて顔に当たり、あっという間に髪の毛に積もり、
深い深いしじまと安らぎに満ち、その時間に身を委ねてしまえることに感謝しながら、
温かなお湯に2人で漂った。







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牛肉とアスパラのソテー、レタス敷き。豆腐ステーキ、ホウレン草添え。
おいしかったよ。





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2日間、情報無し状態にやや不安を感じて、テレビのニュースでも見るかね~

ニュースはやっていなかったが、震災で「溺死」と書かれた死亡原因のなかには
「溺死」ではないものも多数ある、という報道がなされた。

「餓死」であったり「衰弱死」であったりしたということだ・・・

胸に刺さる事実である。

震災と津波で助かっても、その後の救援がなされなかったのだ。痛ましく、なんと無残な、あってはならないことであった。
二度と、そんなことが起きませんように。
いや、二度と、起こしてはならない。











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今日は・・・





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帰るんだよね・・・


       

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あと何回、この風景を見られるだろうか。    










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<マイ栓> 持ってきたけど、お湯の温度はちょうどよく、今回は必要なかった。




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だけど忘れないように、次も持ってこなければ。










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バスの時間は12時過ぎだから、まだまだいられる。



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「チェックインの時間も、チェックアウトも、ないんですよ」

来た時がチェックイン。

帰る時がチェックアウト。





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ゆっくりコーヒーを淹れて・・・



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ゆっくり味わい・・・



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10時にセカセカと帰る時には感じないような、
しみじみと名残を惜しむ時間が1時間くらいあった。





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「また来ようね」
「うん、また来ようね」
「今度は3泊しようね」
「うん、猫の面倒をなんとかして1週間くらい来よう」
「そうだよ、猫だけが問題なんだから」













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帰り際女将さんがおにいちゃんのことを
「いま札幌の大学に行っていて、休みのときには手伝ってくれるんです」

やっぱり三股に一家族だけ住んでいる、そのご家族の長男だった。
昔NHKのドキュメンタリーでその家族のことを放映したのだ。
彼は、私が見たそのときの幼い3人の兄弟の長男でした。

なんだか感慨深い思いだった。




<後日談>
網走・すーさんの奥さんから電話で
「鹿の谷に行ってきましたよ~」(すーさんご夫妻は三香温泉が第二の我が家、鹿の谷が別荘、なのです)
「あのおにいちゃんは三股のご家族ではなく、ほら、道路の点検されていて、いつも夕方お風呂に入りに来る男の人がいるでしょ? あの方のご長男ですって」
あ~ お風呂入ったあとで女将さんとお話ししながらご飯食べてる気配があったり、あの人ですか?
「そうそう。三股のご家族のお子さんはお嬢さんですって」
間違えてました~
勘違いでしんみりしていた私。
「それでね、管理人さんが亡くなっちゃった下の幌加温泉、あそこもちょっと動きがある気配で…」
ふむふむ。それは今度お会いするときに詳しく聞かなきゃ!







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いろいろな縁がある。





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六花亭の表口から入ってみます。


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こっちからは、初めてです。


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ワンちゃん、こんにちは!






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春キャベツのピザとマルゲリータを、まちこと半分ずつ。


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おいしいでっす。


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もち、デザートもでっす。


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いい旅でしたっ。












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<藤丸>の地下、魚売り場で、確認しました。

“荒巻鮭 山漬け”  って書いてありました。
山漬け?

2人で顔を見合わせて??

分からないので売り場のおばさんに
「この “山漬け” って、どういうものですか?」
「これは、鮭を山のように積んで塩漬けにしたものです」

つまり、形状を表していたんですね~

たいへん不適当なものを選んでしまったわけです、私たち。

もう分かったから、次に活かしますわ~



















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