湯の沢 湯の沢鉱泉

(2009年6月12日 1人泊 @14,000円)



湯の沢鉱泉

上野駅の構内の中でも、この辺がいちばん昔の面影が残っているところだと思う。
特急で水戸まで約1時間、そこから水郡線に乗り換えて「山方宿」(やまがたじゅく)という駅で降りる。




湯の沢鉱泉

初めて乗った特急なので、風景がとても珍しく感じられた。

蓮の産地らしく、田んぼと田んぼの間で蓮の葉が風に揺れていた。

湯の沢鉱泉

蓮が終わると一面栗畑が続く。

茨城が栗の産地だと知らなかった。もっとも花が咲いていなければ私は栗だと気がつかなかっただろう。


湯の沢鉱泉

自然に生えているらしい山の中の栗も、畑で栽培されているものも、とにかく数が多いので驚いた。



湯の沢鉱泉

水郡線は単線で「山方宿」は出口が1カ所。水戸から50分ほど。

湯の沢鉱泉

駅前に車が迎えに来てくれている。
同じ列車に乗っていた年配の女性2人と車に。

5分ほど国道を走り左折して山に入ると、かなり急な道となり緑の木々の中を登って行く。
途中同乗の女性が外を見て「あ、白い犬がすれ違った! 野犬かしらね、気持ち悪い」



湯の沢鉱泉

駅から車で10分ほどで到着。

8部屋のこぢんまりとしたお宿。

湯の沢鉱泉

お風呂に近い本館の5部屋はトイレなし、2階の奥に建てられた新館3部屋はトイレ・冷蔵庫付きとのことで、今回新館に。1人泊でもありがたいことに、お安い。

湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉






すっきり、清潔感がある廊下。




湯の沢鉱泉


スリッパはない。掃除が行き届いて気持ちよい。


湯の沢鉱泉

3部屋並んでいる。

湯の沢鉱泉

建てたばかりのようで、どこも清潔感がある。


湯の沢鉱泉







洗面台もすっきり。


湯の沢鉱泉







トイレは、入ると自動的に明かりが点灯。


湯の沢鉱泉




湯の沢鉱泉

お風呂は2カ所の内湯のみ。





湯の沢鉱泉

この時間は女性が檜風呂。

湯の沢鉱泉

換気扇が回っていてかすかにブーンという音がするが、
窓の外の茂りだした木々の色が目に飛び込んできて、
網戸越しの風が入ってくる、静かで美しい、いいお風呂場だった。


湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉

100年以上の歴史がある温泉らしい。

重曹泉のお湯は適温であたりは優しく、ややきしみ感のあるアルカリの感じがする。


湯の沢鉱泉

11℃の鉱泉なので沸かして循環のようであるが、銀イオンで殺菌、と書かれていた。

湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉

ほんの少し色があり、しかし透明でなんとも穏やかなお湯である。

口に含んでみると飲みやすく、とても甘さを感じるお湯だった。


湯の沢鉱泉






湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉

しかししばらく入っていると猛烈に汗が出てきて、優しさに似合わずかなりのパワーを感じた。


湯の沢鉱泉

ウグイスがないている。

そして種類は分からないが、様々な鳥の声。

湯上がり、汗が引くのを待ちながらガラス戸を開け放つと、
一陣の風が大木の梢をザワザワと揺すっていく、山の夕暮れ。




湯の沢鉱泉

そんな木々の動きをゆっくりと目で追い、その葉ずれの音に、静かに耳を傾ける時間。


湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉

壁に、楽しげな絵手紙や様々な草木の絵などがたくさんかけられていた。

微笑ましくおおらかな、なかなか上手い絵だったので、
帰りに誰が描いたのか聞いてみたら

「若女将が通っている絵手紙の教室の先生と生徒さん、そして若女将の絵も」とのことであった。






湯の沢鉱泉

夕食は大広間で。

本日私も含め4組。
明日の土曜は満室だそうである。


イモ攻め & デンプン攻め  の感あり…

右下に里芋 左下は粟餅の味噌だれかけ

五湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉

手前長イモ…  左の煮物の中にジャガイモ…


湯の沢鉱泉







これは里芋…

       

湯の沢鉱泉






湯の沢鉱泉

日本酒「久慈」1合、お燗で。

湯の沢鉱泉

茶碗蒸しでちょっとほっとする。






湯の沢鉱泉

これはジャガイモのチーズかけ…


湯の沢鉱泉

「焼きたてですよ~」と持ってきてくれた鮎。

なんか見たことない茶色の鮎だな~
背びれを取って背中をガブッとやったら、皮が歯肉に刺さった!

焼きすぎて、多分ガスの遠火で茶色になっちゃったんだろう。
身が少なくなっていた。

湯の沢鉱泉

そして鍋はキリタンポ… これもデンプン。


湯の沢鉱泉

あんど ソバ…

湯の沢鉱泉

そしてご飯… 汁椀はなく、デザートはメロン。




湯の沢鉱泉




湯の沢鉱泉

無風の静かな山の中に、下の田んぼで鳴いているカエルの声が小さく聞こえる。

ギュ ギュ グワッ グワッ コロコロ グワッ コロコロ


湯の沢鉱泉

すでに鳥たちの鳴き声は止んで、暗闇の世界では主役が入れ替わり、違う生き物たちの舞台となった。






湯の沢鉱泉

お風呂が、岩風呂に。

湯の沢鉱泉

夜は12時まで。

少し熱めになっていて、ときどき岩に座って体を冷やしながら小時間ゆったりと。

湯の沢鉱泉

窓を全部開け放つとしんしんと冷気が入ってきて、
あんなに駅から近いのに、ここが明らかに山の中であることを実感するのだ。





湯の沢鉱泉

小夜ふけて… 


眠れない私はガラス戸を開ける。


湯の沢鉱泉

群雲の中に、やがて月は消えていった。

どこかで犬の鳴き声がした。

ときに遠吠えのような。




湯の沢鉱泉

4時半ともなると明るくなり、月も移動してかなたに霞んでいった。

湯の沢鉱泉

持ってきたコーヒーを淹れて。

賑やかな雀の声にちょっと驚いた。里山なのだと実感する。
ウグイスがたくさんいるようで、あっちでもこっちでも。
カラスの声、鴨のような声、そのほかじつにいろいろ聞こえてくる。

この土地の豊かさを感じた。

お風呂は朝は5時から。



湯の沢鉱泉

朝の岩風呂。

夜は見えなかった外の緑が美しい。
露天はなくても、十分満ち足りた気分になった。

まだ虫もいないので、またしても全部の窓を開ける。


湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉


湯の沢鉱泉



湯の沢鉱泉

いいお風呂といいお湯だった。

東京から近いし、また来たいと思った。


湯の沢鉱泉






湯の沢鉱泉

朝食も昨夜と同じ場所で。


湯の沢鉱泉

どうということはないけれど、フキの煮付けのその野生の味と香りを久しぶりに味わい「ああ、フキとはこの香り、この味」と思い、
そういう一品があれば、それで私は満足。

味噌汁はタケノコと、昨夜の続きのジャガイモ。


湯の沢鉱泉

水郡線の本数がないので、「山方宿」10時9分発に合わせて、9時45分ごろ送りの車に乗り込む。

これは来たときの写真だが、カーブが多いのでスピードを落として曲がっていく。

そのカーブの道の端に、首輪のない痩せた白い犬がいた。
行きに同乗の人が「野良犬かな?」と言っていた犬かしら?

車はゆっくりと回り込み、私は犬を見つめ、その犬と目が合った。
車がスピードを上げて走り出したときも私はその犬を見続けていたのだ。
突然、犬が駈け出して、スピードを出した車の後を疾走して追いかけてきた。
犬の叫びが聞こえたような気がした。

「待ってー! 待ってー!!」



「犬が… 追いかけてきてるの」
運転していた宿の女性はバックミラーをのぞき
「ほんとだ。首輪してないね。捨てられたのかしら? かわいそうに」


野良犬だったら私と目が合っても車の後を追いかけてはこないと思う。
痩せていたが、それも生来のものではないように思えた。
人間の身勝手でこの環境に捨て置かれたのではあるまいかと思うと
不憫だった……


私は祈ることしかできない。(どうぞついて来ないで…)

幸福な変化を、あの犬に…
あるいは… 死の瞬間は… 安らかでありますよう…


考えたくはないが、自分がペットを飼えなくなる状況に置かれた時のことを、自分自身で考えるときがある。
彼らの生と死を、私は私の手中に握っているのだから。

ペットの生死は手中に握っていても、他人の人生は手中に握りたくない。

昨今<裁判員制度>なるものができた。

これは取りも直さず現行の裁判がいかにいい加減で破綻した制度であるかを露呈するもので、いま多くの冤罪が露わになり、清明な魂で公正に裁判をしていた裁判長が格下げされ次々に地方に飛ばされている現実を見れば、権力がいかに取り繕いをしようとしているか、火を見るよりも明らかである。

最も重要な<死刑制度>に関しての議論すらされることなく、なし崩し的に「欧米でもやってるし~市民も参加を~」と責任逃れをすることで煙に巻こうとしている。

法律は従うべきものであるが、悪法は即刻取りやめるべきである。

万万が一、この赤紙が私のところにきた暁には、私は断固拒否するつもりでいる。

残り少なくなってきた自分の人生のその後を、忸怩たる思いで過ごすのはごめんだ。





湯の沢鉱泉

この宿のお湯と風呂場を思い出すときに、あの疾走してついてくる白い姿も一緒に思い出すに違いない。


駅に着くと、駅舎にツバメの夫婦が巣を作りだしていた。
2羽で線路の向こうの田んぼから泥のついた藁を嘴にくわえてきて、垂直の板壁に張り付けている。



湯の沢鉱泉

よりによって、こんなに平らなところじゃなくてもいいんじゃないの~?

しかし、彼らは彼らなりにここが気に入ったのだろう。



私が下に立つと警戒してじっと留まってしまうので、その場を離れた。
入れ替わり立ち替わりめまぐるしく飛び立ち、梅雨の晴れ間、またせっせと巣作りに励んでいた。


湯の沢鉱泉


             人間のそばで、人間以外の生きものもまた、それぞれの生を生きている。





湯の沢鉱泉

                              栗畑は延々と続く。




湯の沢鉱泉




                  あの宿は、もしかすると秋には栗三昧になるのかもしれない。







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