湯河原温泉 旅館大景

改築されて新しくなった京成線日暮里駅のホームで、母と待ち合わせ。
去年の12月以来、久しぶりの母との旅行である。

湯河原温泉 旅館大景

東海道本線・快速アクティーグリーン車、日曜で人もあまりいない。
お昼はお握り1個といなり寿司。
そして日暮里・羽二重団子が最近売り出した
「しづくあん」を半分ずつ。
夕食をおいしく食べるために、私たちはこれで十分。

昨日は41年ぶりという4月の雪で震えたが、
今日はやっと暖かくなってお出かけ日和でほっとする。
母はずいぶんと待ち遠しかったであろう。


奥湯河原「うおしづ」の露天付きの部屋を予約しようとした私は、
…… ちょっと待てよ、最近母は……


湯河原温泉 旅館大景



そういえば、最近は以前のように「いいお湯ね~」とか「あら、部屋に露天がある! 夕食前に入らなくちゃね」とか
「食べすぎちゃって、これは寝る前にお風呂に行かなくちゃ」とか、言わなくなった。


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気が付いてみると、風呂は宿に着いて1回しか入らない時も……

私は母に電話してそれとなく様子を窺うと。

湯河原温泉 旅館大景




どうやらもう、温泉でなくてもいいような感じさえ漂っている。
つまり、露天付きの温泉宿じゃなくても…  
いいわけ?!

ちょっと遠出してのんびりして、おいしいものを食べれば満足ってことのようで。


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私はさっさと「うおしづ」を引っ込めて、お食事がよさそうな、手頃な宿を探しだした。
浮いたお金で、私がお湯目当ての宿に行けるじゃな~い! むふっ。

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湯河原駅から車で5分ほどなので、宿に連絡するとあっという間に迎えに来てくれる。






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(2010年4月18日 2人泊 @12,750円)






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ちょっと山のほうに走り出すと緑も深まり、そしてあっという間に宿に着いた。入り口は3階。

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日差しがさんさんと降り注ぐラウンジで、黒豆茶と柑橘類のゼリーが出され、
スタッフは若い美人のお嬢さんたちで、ここで記帳して1階の部屋に案内される。9部屋のこぢんまりした宿である。

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「眺望の宿」とうたっているだけあって、たいへんよい眺めが広がる。








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お部屋は10畳、イス・テーブルスペース。

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「あら~ いい眺めね~ 緑もきれいで、目の保養ね」
2人で椅子に座って、しばし窓外を観賞。

じつは4階の部屋のほうがもっとダイナミックな風景を見られるとは思ったのだが
風呂が2階にあるので、
エレベーターなしだから億劫であろうと、1階にしたのである。

そのことを母に伝えると
「ここで十分よ。こんなにいい眺めなんだから。あんまり歩きたくないし」


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ガラス戸はよく磨かれていている。
テラスに下駄が置いてあって、玉砂利が敷かれ
外に出てみると春の柔らかな気配が伝わってきて気持ち良い。

湯河原温泉 旅館大景


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寒暖が激しいためか、秋と間違えちゃった木がいるみたい…    紅葉??

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母も出てきて、景色を眺めながら2人で深呼吸などしたのであった。





         湯河原温泉 旅館大景  湯河原温泉 旅館大景 

                 トイレはシャワートイレ、冷蔵庫は抜き取りカウンター式。

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すっきり洗面台。
カカトケアのポンプが置いてあるのが不思議。 洗面台でカカトケア?





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「大浴場は女性は夕食前まで。そして翌朝は朝食後からチェックアウトまでです」とのこと。
それ以外の時間帯は中浴場だそうです。

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母、オレンジ色の浴衣に
「ちょっと派手じゃないかしらね?」
「まあね~ 派手だけど私しか見ないから大丈夫」
「そうね、あ、お風呂は貸し切りなの?」

(この期に及んでそんなことを言うんですか~)

広々した脱衣所。

「貸し切りじゃないの、でも貸し切り状態だから」
「は… 貸し切り状態…?」

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どーんと広い、なかなか気持ち良い風呂場である。     貸し切り状態。

湯河原温泉 旅館大景

湯気で曇ったガラス窓をせっせと手でぬぐって眺めを良くする。
端のほうはかなりぬるめで、抵抗なく入れる。

「この間ね…」
母は同居している弟家族と車で千葉の日帰り入浴施設に行って温泉に入ったところ…

「すごく塩味の濃いお湯でね、これはすぐ出たほうがいいな、と思って長湯を避けたのだけれど」
直後に貧血になり、ちょっとつらい思いをしたらしい。

「私、もう温泉は入らないほうがいいのかしらって、思ったのよ」
私もそうだが、母も食塩泉が苦手で、入り方をしくじるとのびてしまう。


湯河原温泉 旅館大景



ここのお湯は加水・塩素入り・循環である。
湯河原のお湯の感じはぜんぜん伝わってこないので私は少々残念だったが、
温度は適温、単純泉で刺激もなく

お湯をちょっとなめた母が
(あ~!循環のお湯なんかなめて!)
「大丈夫ね、塩味じゃない。温度もぬるめで適温だし、温まりたければ湯口のそばにいけばいいし。
ああ、これならちょうどいいわ。私には」



湯河原温泉 旅館大景






けっこう長時間まったりして不安になった私が
「お母さん、そろそろ出る?」と聞くまで、のんびりとつかっていたのであった。












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部屋に帰り際、中浴場をのぞいてみた。   え? ここ? お湯がないような…

湯河原温泉 旅館大景

どうみても2人やっとの、小ですね~
これこそ貸し切り風呂の雰囲気。

しかしお湯は入っておらず、もしかしたら本日は大浴場のみ?    ラッキ~~~






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角部屋なので、こちらの窓の外もいい景色。

湯河原温泉 旅館大景







「ほらほら、キレイね~」
「あら~ ほんとに。やっと春だねぇ」



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夕方1人で再度貸し切り状態の風呂に入り、
3階の入り口まで上がっていき…


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人気のないフロントの前を通って玄関に。


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入り口前のスペースから山々を見やる。



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駅から近いのに、かなり高さがあって、湯河原らしい眺めだ。



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穏やかな春の夕暮れ。
母の「ちょうどいい」という言葉を思い出した。


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この宿は、温泉よりも景色がご馳走。






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夕食はお部屋食。
6時ちょっと前に、美人のお嬢さんがやってきて食事の支度をしてくださる。

お食事、どうなのかな…
やや不安。食事がよさそうなので選んだのであるが…

けれどきちんと先付けが置かれたとき、ほっとした。

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ああ、これなら大丈夫みたい。

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川エビの素揚げも、海老の黄身あん包みも、おいしくいただけた。

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丁寧に作られた小さな道明寺の中には甘さの少ない白餡が入っていて、ふっと桜の葉が香りたった。



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お造りにタコとイカばっかだったらどうしよう、と思っていたのだが、
桜鯛、ヒラメ、鮪、海老、イカ、と、とびっきりではないけど十分おいしいお刺身で、量もこのくらいなら私たちには有難い。

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お鍋は脂身が甘い豚肉と水菜、ネギのシンプルなもので、もみじおろしとポン酢で。
そしてこれも量が手ごろ。


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私は大好きな利き酒セット注文!
左の「丹波の春滴」という純米酒が好きですね~


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お椀は若芽。柔らかく、厳しい冬が去っていきぬるんできた海の香り。木の芽の彩と一瞬の山椒の香りが心地よい。

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新玉ねぎの煮物。肉みそかけ。

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スープで煮込み、たいへん柔らかな玉ねぎ。濃い目の肉みそに柚子。こんな野菜の煮物も嬉しい。

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そして「焼き物です」と運ばれたアツアツの筍!

これまた旬の嬉しい焼き物だった。添えられたクルミのカツオまぶしも、
こっくりクルミの味わいと筍がよく合って、半端な魚の焼き物なんかよりずっと好き!

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赤出汁のごく少量のお味噌汁も、しっかりとだしがとられ、ご飯にふりかけるシソ風味のヒジキもおいしく、
思わず軽くもう1膳いただいてしまったのであった。


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デザートは抹茶のケーキとアップルパイ。私は別腹に詰め込みました!
たいへん素直な優しいお味で、締めくくりの量としては多すぎるかもしれないけれど、私はいけちゃいましたね~

母は「明日の朝にするわ」






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そして母は… 食直後には眠くなり…
テレビのニュースを見終わると、9時にはもはや寝てしまった。

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誰の手も借りず、元気に1人で電車に乗って待ち合わせの駅まで来るのである。
気が付けば87歳… つまり移動だけでそうとう疲れるはずである。
お湯がどうこう、というのははるか昔の話で…
私も気が付くのが遅いというか、ちょっと想像力が不足していた。


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娘とはいえ金を出して連れてきてもらうのに、文句も言えまい。
遠くに行き露天風呂付きの部屋に泊まれば、せっかく高い部屋をとってくれたんだもの、入りたくなくても入らねば、と思うに違いないのだ。


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「小樽はよかった、函館はよかった、阿蘇もすごかった、別府のあの水色のお湯の温泉、あれは忘れられない、東尋坊も、修善寺も、どこもみんなよかった」
と言うけれど
「どこか行きたいところは?」と聞くと「もう、あちこち連れて行ってもらったから、ないわ」と答える。


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つまりもう「ちょうどいいところ」  がいいんだろう。

来し方行く末、これから母も私も元気な間は、「ちょうどいいところ」を目指そう、と、
私は冷蔵庫から恵比寿ビールを引っ張り出し下駄を履いてテラスに出て、闇にきらめく明かりを見ながら、グラス片手にそう思った。





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「いいお天気ね~!」  「風がないからいいわね~」



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持参のコーヒーを飲んでから
母は「風呂はもういいわ。入ってくるんでしょ?」  私はもちろん「入ってきます」

湯河原温泉 旅館大景


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やっぱりお湯はね…  うーん、ちょっと欲求不満。

どこに行こうかな~
 しかし連休があるからな~。
民族大移動期は料金も高く、込むし、
1人は動きにくく、早く終わってほしい!






湯河原温泉 旅館大景


湯河原温泉 旅館大景


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朝食は通常は2階の食事処だが、客が少ないためだろう、部屋食にしてくれた。
ポテトサラダに新玉ねぎがたくさん入っていて
「こんなふうにすると、野菜がたくさん摂れるわね。うちでもやってみよう」などと。塩辛もうまい。



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焼き魚は「鯵、カマス、エボ鯛、金目」の4種類から選べる。
迷わず相模湾の鯵! 脂がのってジュージューいってる。おいしかった~! 

食事療法用の餌しか食べられない猫を飼っているので私は自宅で魚は焼かなくなったから、
ひとしおおいしいのね~!


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お鍋にお味噌汁が入っていて火をつけてくれるので、お味噌汁もアツアツ。
母は食後に昨日のデザート完食!
「あ~ 全部食べられたわ!」






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真っすぐ駅に送ってもらおうと思っていたんだけど
朝ご飯を片づけながらお嬢さんが
「いいお天気ですね。どちらかに行かれるなら車でお送りいたしますよ」


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とういわけで手近な不動の滝まで、宿の車で送ってもらいました。
清々しい。

しかしこのあと母に「万葉公園まで行く?」と聞いたら
「ううん。万葉公園はいい」って。


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ブラブラと川音の響く坂を下ってバス停まで。
「ほら、お母さん、ここのバスもスイカ使えるから、教えたようにタッチしてね」

私はスイカを買ってあげたのである。
これで小銭を数えて握りしめてなくていいでしょ?

行きの電車で使い方を教えたのである。

「そうなの? あら、便利ね。あまり出ないから使わないけど、
でも次に旅行に行くとき便利ね」

まだまだ好奇心も意欲もある母であるのが、ありがたいことであった。






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                そう、分相応でちょうどいいところに、また行きましょうね。










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