然別湖畔温泉 ホテル風水

(20011年1月10 ・11日 1人泊 @11,850円)








然別湖畔温泉 ホテル風水




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帯広駅から然別湖に行くバスは、途中までは料金を取るけど、終点まで乗ると冬季は無料なんですって!!


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なんともありがたいことである。
乗客はあまりいないけど。
十勝平野をよぎって山に入ると、下のほうに広々とした大地が広がり、目の前には白く細い道が延びている。



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帯広は雪深いところではないから山々は真っ白ではないが、気温は低く、氷の世界。





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2時間弱バスに揺られて、本日のお宿がある然別湖畔に到着。

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ホテル風水。

あ!  成人の日で、国旗掲揚されてます!

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北海道では温泉地だけでなく町なかでも、祝日にあたると、家の玄関脇の国旗を立てる金具に小さめの国旗が飾ってあるのを見たりする。

本州ではもはや見かけない風景となりましたね~  いまや子供たちが国旗を見るのはサッカーの試合とオリンピックのテレビ中継のみ。

北海道以外では、そのうち日本の国旗も分からない子供が出来するかもね。


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予約の時に
「バスがあまりないので1時ごろ着いちゃうんですが、早めに入れてもらえるかしら?」って聞いたんですよ。
そりゃもちろんどこかで時間をつぶして遅いバス便にして夕方到着、ってのもありますけどね。
私としては北海道スタイル
「早く着いちゃったんで~す」「あ~ いいですよ~」で部屋に入りたい。






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そしたら「1時はちょっと無理ですが… できるだけ早くご用意いたします」ってお返事もらったの。

私は泊まってもアルコールはあまり摂取しないので、宿の宿泊費以外、そこに還元したいと思ってもたかがしれてるのね。
だからできるだけ宿の自販機や冷蔵庫のもの、売店のものを買うようにしてるんです。

で、食堂は営業してるので、あまりおなかはすいてなかったんだけどここでお昼をいただくことにしました。



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ここのちょっと下の鹿追町はお蕎麦が有名らしい。
<山菜蕎麦>を頼んでみました。

付いてくるのは、
おお~ やっぱり一味唐辛子です。


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北海道の人って一味が好きみたいですよ。

まれに一味と七味が置いてあっても、みんな一味に手を伸ばしてますね。
なぜかしらね? 聞けば
「やっぱ、一味だろ~!」ってお返事で。

私はいろんな味と香りがする七味が好きなんだけど。

熱々お蕎麦はおいしかった。おなかにもちょうどよかった。



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ガラス越しの強烈な日差しを受けて、日焼けしそうなくらい。

暖房もきいていて眠くなりそう。
食堂の裏にある喫煙スペースでぷか~りとしたあと、凍った湖をボーッと見ていると、瞼が重力に抵抗しなくなっていくのね。

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時々、一陣の風に乗った水蒸気の凍ったような渦巻きが、ゆっくりと形を変えながら移動していく。
初めて見る。





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2時ごろ
「お部屋ご用意できました」

いや~ 待ってました!

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事前にネットでこのホテルの会員になっていたので、通常よりお得な料金で本館の安めのお部屋にしたけど
「うちは全部のお部屋から湖が見えます!」とのこと。

最安値のお部屋は
「湖がちょっと見えにくくなっておりますが」だそうです。



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8畳、イス・テーブルスペース、バス・トイレ付き。

トイレの便座はウオームレットじゃないから、
座るとひゃ~~~ ってなる。


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然別湖と通称・くちびる山(氷がとけると湖に山が映り、その形が唇に見える。ぷっくりタイプの唇ね)が正面に、
コンパクトできれいなお部屋です。

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バスルームのほかに洗面台もあり。

からの冷蔵庫。便秘予防対策で買ってきたよつば牛乳を入れる。




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外は-5~6℃か。部屋のガラス戸はよく磨かれていて気持ちいい。
日差しで、湖の氷の白さが輝く。

北海道のど真ん中あたりにいるのをしみじみ実感して嬉しくなる。





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風呂は下にあるのね。
安い私の部屋からはすぐなの。だから階段ね。

新館の高いお部屋からはエレベーター使って降りてくるのよ。

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すごくきれいで広々した脱衣所。
日帰りにも対応したロッカーなどあり。






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内湯。だれもおらず結構結構!

だけど…  ヘンな風呂ですね。
湯船の真ん中にドカーンと柱が。

どういう設計ポリシーなんでしょか。ふつーは柱避けて湯船をつくるんじゃないかしらね~


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お湯はとっても良かった。
笹濁りの、わけても鉄分が多そうな色で、温度も適温。お湯の量も豊富。

2カ所の湯口から静かにそそがれる。


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ちょっとね、足をくちびる山の形にしてみました。

お湯はいいんだけどね…

うるさい…


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だれも入ると思えないようなジャグジー ……
手を入れてみると、えらくぬるいし。

ジャバジャバうるさい!!






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ドアを開けると、すぐに小さな露天が。

ひえっ!  さむっ!!


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急いでお湯に浸かりながら前進。


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                           いいでっせ~~~~





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湯口からは熱いお湯が豊富に落ちてくる。

しばらく人が入らなかったとみえて、湯口の周囲はわりと温かいが湯船の端のほうはすごくぬるいので、
動き回って撹拌する。





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その後貸し切りでまったりする。

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湯船の縁に付いた氷は締まっていて硬い。

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澄んだ空気と凍てつく寒さが作りだす、透明でとてもキレイな氷だった。

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お湯に浸けると、輝きながらたいへんゆっくりと溶けていった。


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                            わ~お   し・あ・わ・せ~!







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夕食は食堂で。

本日私のほかには、男性が1人。
食事の時間は選べるので私より先に来ていて、早めに去って行った。
お給仕してくれた宿のおねーさんの話によると、なんでも先日ワイドショーかなんかで然別湖が紹介され、そのテレビを見てやってきたとのことであった。

然別湖は例年湖が凍ると、1月下旬から地元の人とボランティアさんたちが湖の上に温泉を引いて無料の露天風呂を造り、イヌイットの人たちの住居、雪と氷でできたイグルーも作って宿泊もできるようにしたり、氷上で結婚式が行われたりと、30年来地道な観光に励んだ結果、近年は多くの観光客が真冬にくるようになったらしい。


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見た目よりも様々な野菜類が多く配されていて、
おいしくいただける。


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「オショロコマはここで獲れたものではないんですが」
(然別湖のは天然記念物で、決められた期間に申請をして釣ることができるんだそうです)

だから近所の養殖のオショロコマだけど、焼き立てでこれもおいしい。

味付けも薄味で、なによりとてもバランスのいい好感のもてるお食事だった。
豚肉責めだったらどうしましょ と思っていたのでなおさらそう思った。


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お米もすごくいいお味で、
「なんていうお米ですか?」って尋ねたら
「ゆめぴりかっていうんですよ。とても評判がいいんです」

最近北海道でよく見かける、ちょっと細長いタイプのお米である。

甘み、歯ごたえ、そしてもっちり感。
北海道では、研究され努力して開発された、見違えるようにおいしいお米がたくさんできている。


魚沼の農家の人が危惧していた。

「温暖化が続いてこんな気候が当たり前になったら…
今から気候に合った米を開発しないと、魚沼はそのうち北海道の米に負けるんじゃないだろうか」




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おなか、ぱんぱかぱーん!でデザートのアイスクリームは入らず。
お部屋にテイクアウトしていただきます。

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な… なにこれー!  なんてうまいん!

女満別空港から網走駅に向かう途中でバスを降りて行った<りすの森>。

あそこのソフトクリームをひと口食べてまちこは言った。
「これ、粉ミルク入ってる?」

んなわけないでしょー!
この地でそんなことしたら、石持て追われるわい!

けれど本物の牛乳の味を知らない私たちは、そのクリーミーで豊潤な味の凝縮感に、瞬間粉ミルクを思っても不思議ではないのだ。

このアイスクリームにも同じような豊かなミルクの味わいがあって、私はその目の覚めるようなおいしさに陶然とした。

こんな濃厚なミルクを飲んじゃった仔牛は目を回すんでないの? という味ですよ。
仔牛のためにはもうちょっと薄いおちちのほうが妥当な気もするが。





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静かな夜の露天…  と言いたいところなのだが、
背後で ウオンウオンウオーン ウオンウオンウオーン とモーター音が響く。
もちろん昼間からしていた。

多分、私は神経質なのだ。
多分、ふつーの人は気にするような音ではないのだ。

(お湯の汲み上げだけでなく、いまいましいあのジャグジーの作動も関係してるかも)

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神経質な私は、この凍った湖の厳然とある静けさの前で、ここでお湯の音だけが聞こえる風呂場にする配慮があったならと、目の前に広がる圧倒的な地の恵みを感じながら、残念でため息が出てしまうのだった。

お湯はぬるめで心地よかった。

音はともかく、お湯の心地よさに身を委ねながら考えるともなく考えた。

もしかしたら… ありのままの静けさを望んでいるのは東京から来た私だけであって

北海道の大自然に抱かれて静かな住環境に暮らしている人たちにとってみたら、
静けさ、というのは否定的な要因なのかもしれない。

だから、風呂場に音楽を流してみたり、むしろモーター音が聞こえたりと、人間の存在を感じさせる音があることを潜在的に望んでいるのかもしれない。

なんの音もしないという状況はできたら避けたいことなのかもしれない、などと思ったのだ。







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ダイヤモンドダストが、風呂場から見える。



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昨夜、雪というより水蒸気の氷の粒のような、とても細かいものが舞っていた。

パウダーのように積もっていた。








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「人数が多ければ、バイキングなんですが」

いや、私はバイキング苦手なので、ちょうどいいです。

昨夜の夕ご飯の時に
「朝食、魚と卵、どちらにします?」と聞かれて、なんとなく「では、卵で」と言っちゃったんですが、
卵焼きもあるので、重複。
明日は魚にしよう。


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おいしいアイスクリームは売店にも売っていて、もう夢中。
風呂上がりに食べまくりです!

バニラ、コーヒー、ブルーベリー、ホワイト、があるんですが、ミルク感いっぱいのホワイトがやっぱり一番うまい~!!!








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見ていると、突如として小さな流れができ、ゆっくりゆっくりと、渦を巻いて流れていく。

時折2条の渦が交差し、重なり大きくなり、また分かれて、岸のほうに湯気のように拡散していく。


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何が原因でこんな現象が起こるのか、不思議で、そして美しく、こんなスペクトラムを味わえる幸運に感謝の念が湧きおこる。





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岸辺を散歩すると、着々とイグルーができている。


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-7℃くらいの氷上の労働。
でも、みんな楽しそう! 

イグルーの形になったら木型を取って、隙間に雪を詰めて補強するらしい。
この時期は雪を固めた四角いブロックを使うが、開催に向けてもっと寒くなったら、湖の氷を切り出して使うとのことだった。


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ちょっと中を見せてもらいました。


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風がなく、ある種の暖かささえ感じる、ファンタスティックな空間。
天井から透けて見える太陽の光が、柔らかく優しい。

上等のシュラフがあれば、ここで一晩過ごすのも楽しいかもしれない。


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珍しく犬のお散歩の足跡。

小さな歩幅で、必死にご主人に付いていったらしい。







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9時から12時まではお掃除でお風呂に入れない。
12時半に行ったら脱衣所の籠3個に隣の宿<福原>のタオルがかけてあった。

洗い場では盛大に泡だててシャンプーしている人が1人。

露天にはおばあちゃんと孫の女の子。

<福原>に泊まっていて「<風水>のお風呂もタダで入れますよ、湖が見えますよ」と言われて来たんですって。

孫、ひとしきり遊んだ後
「中で鬼ごっこする」
おばあちゃんは
「じゃあ体洗ったら、鬼ごっこしよう」  と、内湯に去っていった。

えーっとね、いくらタダだからってね、シャンプーと体洗うのは、泊まってる旅館でやるべきじゃないかしらね~

<風水>に泊まってる私は「あっちの風呂もタダですよ」って言われなかったんですけど。
たぶんこっちからあっちに行く人は少ないんだろう。



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このモーター音を我慢すれば、寒い中、あっちまでいく必要はないような気がする。
お湯は同じだろうし。そしてあっちにもジャグジーがあるらしい…

みんなそんなにジャグジー好きか??



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この氷の上、報酬とは無関係の労働。  燃えてるね~ 祭りに向かってまっしぐら。








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本日は10組の客が入って、私はちょっとホッとした。

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豚肉と野菜の蒸しもの。

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鮭のチャンチャン焼き。

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トマトソースをかけて焼いた牡蠣と、すごくシンプルなジャガイモのスープ煮。

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氷室で保管して熟成させたおじゃが。

ごくわずかの塩味なので、ほんのりじんわりと、イモの甘さと香りが口に広がって驚く。


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揚げたてで持ってきてくれた野菜の天ぷら。

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おすまし、ご飯もしっかりいただきました。

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あーっ! デザートはアイスクリームじゃない! あとで売店で買わねば!







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昼間、近くにあるネイチャーセンターに行ったら、夜1時間ほどナイトウオッチガイドっていうのがあるそうで、お願いしたんです。

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7時半に防寒服と長靴を持ってロビーに迎えに来てくれました。

車でしばらく走って、降りると…

北海道の山の中、街灯なんざ皆無だから月明かりだけ。
上を見上げると煌めく星々。

オリオンのプレアデス星団がはっきり見えると、ああ、星空を見られたー!って感慨にひたれる。
ガイドさんが星座の説明の合間に
「かすかに音がするでしょ?」
……聞こえない……   耳を澄ましていると、そのうち、サーーー と流れるような密やかな音が。

「なにか流れているような感じの音が聞こえるような気がします」

「あれはね、風が谷を通っている音です」

その後凍った湖の上を歩く。
温度計を見てガイドさんが
「いま-15℃ですね。明日の朝、きっとダイヤモンドダストが見られますよ」

いや~ 素晴らしい静けさと冷たさだった。
背後の宿の明かりが目障りだが、仕方ない。

できれば、私はガイドさんに黙っていてほしかったが、黙っていたらガイドにはならないもんね。


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月明かりも目障りだったけど、これまた仕方ない。

それでも満天の星空と、夜に染まった大気と、冷たさを通り越した痛みと、それらはすべて心地よかった。







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帰りも六花亭です。


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<土鍋ぜんざい>ってのをいただきました。








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グレーに霞む雪原。吸い込まれていく音。無音の向こう側。
痛いくらいの冷たさ。

独りで立つ白い白い世界。




渇えたようにそこに向かっていく自分自身にふと気がつくと……



かすかに、危険な匂いを感じるときがある。













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