2013年

11月9・10日 三香温泉
11月28・29日 鹿の谷、30日 三香温泉
12月21・22日 三香温泉

去年のこと










去年のこと





めまいもおさまりつつあり、心もそれに伴って元気が出てきて、
聴力は相変わらずだったが、できるだけ左耳のほうで意識的に聴いて、
聞き取れないときは、その時はその時。割り切る方法を見つけつつあった。




去年のこと





三香温泉も鹿の谷も、すーさん夫妻に連れて行ってもらえて、どれほど負担が軽減された状態で行けたかと思うと、ありがたかった。
そして勝手知ったる宿で心ゆくまで心身の疲労を癒やせた。
鹿の谷の梅澤さんや三香温泉の三上さんにお会いするとホッとできることが、幸せな気持ちになる。




去年のこと





突発性難聴は多分治らないんだろうが、だんだんとその事実を受け入れようとしているのだろう。
聞こえなくともあまりイライラしなくなった。
こうやって自分の変化しつつある身体に、慣れていくのだろう。






去年のこと





季節が移ろって寒さが増してくると雪の記憶が蘇り、ああ、もうじき冬ね、と、

ちょっとうれしくなり、ぞっとするようなあの夏の記憶がよぎっていくが、それももう過ぎ去ったことであるのだから、と、波立つ心を鎮めるのであった。




去年のこと



できるだけゆっくりと穏やかに過ごしていけば、ある日病人でなくなっているかもしれない。
なるようにしかならない。

デコボコと起伏の多い感情を、できるだけ叩いて伸ばし、平穏に。平静に。伸ばし伸ばし。
平らに。
胸の奥でそんな作業を繰り返しているのだった。
















去年のこと


お湯に浸かっている時に、すうっと意識が平らになっていく瞬間があるが、
あの時間を思い出しながら、平らに、平らに。




去年のこと


景色の中で色彩がなくなっていくこの時季だからこそ、凍った実の赤い色は強烈だ。
初冬の空気の中で鋭く輝くそれは、なんとしっかりと自己主張することか。
生きていることを、あるいは生きていないことを。
それを見ている私に、はね返ってくる。
私自身はもう少し心のゆとりをもてたら、他者とのコミュニケーションも負担なくいくのだろうけれど。今はこの程度で我慢するしかないのだ。






去年のこと



ともあれここ何回かの北海道は、今までとは違った時間の過ごし方を私に強いたが、
それもできるだけありのままに受け入れようと思った。






去年のこと


もうすでに過去のことで、年が明けて私はこの文章を書いているのだが、
あっという間に時間が巻き戻って、鹿の谷のシクラメンを見つめていたり、三香温泉の内湯の天井から落ちてくる水滴が、湯面に放射状の円を次々に作り出していくのを見ている時間とシンクロナイズするのだ。

その時の自分はその場所にくっきりといて、今の私はその自分に入り込んでそこの空気を吸っているのであった。


          



去年のこと


ああ…… 生きていればこそ。そんな感慨にひたる今日この頃。 

















トップに戻る

powered by Quick Homepage Maker 4.15
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM